サスケは飛ぶ鳥を落とす勢いで、成長した。
同じ年頃の訓練を長くしてきた子供なんて、足元にも及ばないくらいに、
ヒトゴロシの技術が成長した。












人殺しと少年 4
「お前が俺のトコに来てから、3年経ったね」 庭先で、クナイを手入れしてるサスケにおもむろに言った。 サスケは視線を向けることなく、あぁ、とだけ答える。 「成長してきたって、先生が褒めてたよ」 それに対しては、短い返答すら得られなかった。 「そろそろ、人を殺したい?」 ピクリと肩が震え、振り返る。 「…」 何も言わず、ただ見つめてくるだけのサスケに、もぅ一度同じことを言った。 「だからね、人をそろそろ殺したい?って訊いてるんだけど」 「…別に」 視線をクナイに戻し小さく呟かれた言葉は、少しだけ震えてた。 「別にって…。  嫌なら、別に断ってくれてもいいんだよ。  というより、依頼は俺に来てて、お前は単に同伴の許可を得たってだけだけどね」 ゆっくりと振り返ったサスケの視線と、ぶつかる。 「珍しいな」 「何が?  俺がわざわざ任務に行くのをお前に言ったこと?  それとも、一緒に行くかと誘ったこと?」 「…任務をわざわざヒトゴロシって言ったことだよ」 「だって、本当のことでしょ」 「そうだな。  …ついていくよ、アンタに」 そう言って、また視線をクナイに戻そうとするサスケを呼び止めた。 「サスケ、解ってる?  俺は、人を殺しに行くんだよ。  もしかしたら、サスケも誰かを殺さなきゃいけない場面になるかもしれないんだよ。  それを、本当に解ってる?  それでも、ついてくるの?」 「解ってるよ。  アンタが人を殺しに行くことも。  俺も誰かを殺すことになるかもしれないことも。  ちゃんと、解ってる。  それより、アンタも解ってるのか?  俺はすでにヒトゴロシなんだよ。  もぅ、遅い…」 「サスケ…」 声をかけたけど、もぅサスケは振り返ってはくれなかった。 解ってるよ。 お前が、昔に人を殺したってこと。 『でも、お前ならやり直せるんじゃないか?』 そんなことを口走りそうになって、やめた。 俺が言えるセリフじゃない。 俺が、最初にサスケをこの道に誘ってしまったのだから…。
2003.05.12

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