任務以外で会わないようにしていたのに、どういうワケか偶然に会った。
いや、色町に出かけて行ったんだから、
会う可能性がまったくないワケではなかったが、それでもその可能性は低かったはず。
	

3人の男に囲まれて、サスケはぼんやりと立っていた。
何を言っているのかは聞こえなかったが、
暫くするとサスケは納得したようで、男たちと一緒に路地裏へと消えた。


このまま放っておいて、当初の目的どおり後腐れのない女を買おうと思ったのだけど、
気になってしまって、情けないことに気になってしまって、後をつけた。

止めろ、と止める自分がいた。
けれど、何処かで手遅れだと、諦める自分もいた。





「うちはのガキも落ちたもんだよな」

「この歳で身体売るなんてな。
 しかも、男のくせに、男に売ってやがる」

「そんなに兄貴の情報が欲しいのか?
 そこまで、兄貴に執着見せるなんで、昔何かあったんじゃねぇの?」

下卑た言葉とともに、汚い路地に投げつけられる。
サスケは、ぼんやりと男たちを見る。

何も言い返さない。
ただ、虚ろな目で見上げる。

それが、気に入らなかったのか、男がサスケは殴る。
けれど、サスケは呻き声ひとつ洩らさず、ただ自分を殴った男をぼんやり見上げる。
ますます気に入らないのか、残りの男たちも一緒になって、サスケを殴り、蹴りつける。
それでも、サスケは一言も発せず、ただ暴行を加える男たちをぼんやりと見る。






ほんの数ヶ月前の自分たちを見ているようだった。


サスケはどんなに殴っても、呻き声ひとつ上げなかった。
それが、余計に苛立たせるということを、気がつかなかったのだろうか。


当初、サスケとの関係に暴力はなかったはず。
乱暴に抱いてはいたけれど、暴力だけは振るわなかった。
一体、何処で俺たちの間には暴力しかなくなったのか、思い出せない。
ただ、ぼんやりと思い出すのは、やっぱりお前のその虚ろな目だよ。


あぁ、そうか。
その目だよ。


いつからか覚えてはいないけど、お前はあの挑戦的な目をしなくなった。
ただ、ただ、ぼんやりとした死んだ魚のような目をするようになった。
それが、きっかけのような気がする。
それから、俺たちの関係は、ただ殴って、蹴って、お前が気を失って、
それが繰り返されて、終わっていった。




いい加減飽きたのか、男が服を力任せに、サスケの服を破る。
白い肌が、月明かりの下に現れる。
その白さに、男たちが息を飲む。


それを感じ取ったのか、サスケは未だ虚ろな目をしたままで、
緩慢に腕を男に伸ばし、ゆっくりと頭を抱え込み口づけた。


その様は、寒気がするほどに、美しかった。


見ていたふたりの男が、今までサスケと口づけていた男を押しのけ、
サスケに馬乗りになる。
サスケは虚ろな目のまま、笑いかけゆっくりと目を閉じた。
争うように、男がサスケに群がる。
白いサスケの肌に、点々と紅い痕がつく。


サスケは目を閉じたまま。


時折、ゆっくりと目を開け、虚ろな目を見せ、またゆっくりと目を閉じる。
投げ出された身体。


男のひとりが、サスケの下半身に顔を埋める。
それでも、サスケは何の反応も示さない。
ただ、壊れた人形のように、横たわっている。
何の反応も見せないその身体。
男のひとりが我慢できなくなったのか、自分のベルトに手をかける。


最期まで、見ていたくなかったのか、身体が、動いた。
ホルダーからクナイを取り、男の喉笛を掻っ切る。
血が、飛び散る。
サスケにも、男にも血の雨が降る。
男ふたりが恐怖を顔に張り付かせて振り返る。
それと、同時にふたりを切りつける。
血を撒き散らして、二人は死んだ。


それでも、サスケは目を瞑ったまま。
顔に飛び散った血も、精液とでも思っているのか何の反応もしない。






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