永遠
「サスケは、永遠を信じる?」 「…信じない」 永遠なんてモノがあったのなら、あの時あんなことは起きず、 幸せが、今も続いていたはずだから。 「そぅ。俺も、信じない」 「…」 何が言いたい? いや、言いたいことは、たぶん解ってる。 でも、聞けない。 聞きたくない。 だから、沈黙する。 でも、 真剣な表情を浮かべ、ただ見つめてくるアンタの視線に堪えられなかった。 「…何が言いたい?」 アンタはへらりといつものように力なく笑った。 「さぁ?  永遠がないなら、作ろうかと思って…」 「…」 『どうやって?』 なんて、訊くほど子どもではない自分に、少しだけ同情した。 「…俺は、まだやんなきゃならないことがあるんだよ。  だから、アンタの永遠には、まだ付き合えない」 キッパリと断るつもりが、 どこかでアンタと同じことを望んでる自分がいて、 『まだ』なんて変な執行猶予をつけてしまった。 それに気づいて、アンタはまた笑った。 いつものようにへらりとした笑い方だったけど、 目に憐憫の色が見えた。 「そっか。  じゃ、お前が野望を成し遂げたら、俺との約束を守ってくれる?」 「…覚えていたらな」 『まだ』なんて言って、期待をもたせたくせに、 それでも、一族の復興をしなければならないことを思い出し、 確実な約束をすることができなかった。 それを解っているだろうに、アンタは別に何も言わなかった。 ただ、静かに、ありがとう、と言っただけだった。 野望なんて忘れてしまえたらいいのに。 何も考えずに、 この手を取って、アンタの永遠に付き合えればいいのに…。 そう思うのだけれど、 そんなことは許されるはずがない。 だから、 ふたり、いつか来るはずの永遠を夢見よう。
2003.03.20〜05.05 もとネタは、『狂人の恋』(←クリック)。 もとの『狂人の恋』とはイメージ変わったんで、タイトル変更。
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