Mittäter 3

再び目が覚めるとカカシの部屋ではなく、何もかもが白く殺風景な部屋だった。 薬品臭さから、恐らく病院だろう。 半身を起こし、自分の手を見る。 ぐるぐると包帯に巻かれた両腕。 右腕には、僅かに血が滲んでいる。 カチャリと小さな音がして、看護婦が入ってきた。 「起きたの?  あなた、身体中酷い怪我よ」 もう一度包帯巻きの両腕をじっと見詰める。 「両腕もだけど肋骨も折れてるし、内臓も少しだけど傷ついてるのよ」 肋骨なんて、痛みはないのに。 そう思いながらも、胸をはだけで見てみると、 こちらも包帯でぐるぐるだった。 「誰にやられたか、覚えてる?」 気まずそうに訊く、看護婦。 目を合わそうとしない。 「覚えていない。  けど、たぶん、自分でやったんだろ?」 そう言うと、看護婦は変な顔をした。 安心したような、困ったような。 それから、医者を呼んでくると言って逃げるように出て行った。 「カカシ、いるんだろ?  出て来いよ」 看護婦が出て行ったドアから、カカシが入ってくる。 そのまま何も言わず、ベッドに近づいてくる。 お互いに視線は逸らさずに。 「痛い?」 「アンタ、馬鹿だろ? 病院なんかに連れてきて」 「俺は、痛い?って訊いたんだけど?」 薄く笑って、カカシが訊く。 「俺は、馬鹿だろ?って訊いたんだけど?」 「そう?  それで、痛い?」 答える気が全くないカカシに溜息をひとつ吐く。 「…痛くねぇよ。   アンタ、手加減してたんだろ?」 一瞬、カカシは苦しそうな顔をしたけれど、また酷薄な笑みを浮かべた。 「手加減?  したよ、もちろん。  大切なうちはの生き残りにもしものことがあったら、いけないからね」 「その、うちはの生き残りを痛めつけて、面白かったか?」 「全然」 「だろうな。  で、何が目的だ?」 「目的なんてないよ」 「相変らず、肝心なとこで嘘が下手だな。  アンタが、理由もなく生徒殴るかよ」 「へぇ〜。  お前、俺のことそんないい先生に思っててくれたんだ」 喉の奥でクツクツと笑うカカシ。 何でだろうな、その姿さえ嘘臭く見える。 「お前があえて自分から、 上層部に刃向かうような、面倒くさいことをするようには思えないだけだ」 「サスケ、よく解ってんじゃん」 「茶化すなよ」 「茶化してないよ。  馬鹿にしてるだけ」 僅かな苛立ちを隠そうともせず、カカシは言い放つ。 それでも、顔には笑顔を浮かべて。 溜息が、出た。 「アンタ、本当に馬鹿なんだな…」 カカシは、困ったように笑った。 「サスケほどじゃないよ…」
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