[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。






Who is loved?





部屋に戻るとシンタローが電気も点けず、ソファに座りTVを見ていた。
何を見ているのかと後ろから伺えば、
今より少しだけ若い私と幼いシンタローが映っている。

いつも私が一緒に見よう、と言ったところで奪い取られ、
焼き尽くされるのがオチだというのに、何故今は静かに見ているのだろう。

静かに近づき、名を呼ぶ。
けれど、振り返ってはくれない。

それはいつものこと。
けれど、いつもと何かが違う。

無理矢理振り向かせキスをすれば、歪んだ笑みでシンタローは笑った。



「…シンちゃん?」

「アンタは、どれだけ俺を苦しめてるか知らないだろうな」

そう言ってまた笑って、シンタローは席を立った。



引き止めるために伸ばされた手は、シンタローに届くことはなかった。
止めることができなかった。

残された私はシンタローが消えたドアを見つめるだけ。

背後から楽しそうに笑う私の声と、
「パパ大好き」と今はもう言ってはくれないシンタローの声が止まずに聴こえていた。






09.23 Back    Next