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Who is loved? 部屋に戻るとシンタローが電気も点けず、ソファに座りTVを見ていた。 何を見ているのかと後ろから伺えば、 今より少しだけ若い私と幼いシンタローが映っている。 いつも私が一緒に見よう、と言ったところで奪い取られ、 焼き尽くされるのがオチだというのに、何故今は静かに見ているのだろう。 静かに近づき、名を呼ぶ。 けれど、振り返ってはくれない。 それはいつものこと。 けれど、いつもと何かが違う。 無理矢理振り向かせキスをすれば、歪んだ笑みでシンタローは笑った。 「…シンちゃん?」 「アンタは、どれだけ俺を苦しめてるか知らないだろうな」 そう言ってまた笑って、シンタローは席を立った。 引き止めるために伸ばされた手は、シンタローに届くことはなかった。 止めることができなかった。 残された私はシンタローが消えたドアを見つめるだけ。 背後から楽しそうに笑う私の声と、 「パパ大好き」と今はもう言ってはくれないシンタローの声が止まずに聴こえていた。
09.23 ← Back Next→