07.06.28覚書。山ヒバ。10年後? / .   
山本記憶喪失。


この前、さわりだけ書いたけど、
その一番書きたい部分↓



***


「君、女の子が好き?」

「…えーっと、いきなりすぎて話が読めないんですけど?」

「いいから、答えなよ。
 女の子が好き?」

重ねて問えば、少したじろぎながらも頷く男。

「そう」

「…えっと、本当に何?」

「別に。
 だったら、いいかと思って」

「何が?」

「――君が、好きだよ」


息を呑んで呼吸を止めた男。
その顔があまりにも間抜けで、僕は笑った。


***

まったく自分に眼中がない山本になら、好きだと言うヒバリ。 
 




07.05.08 記憶喪失ヒバと山本。 / . ヒバリ、ヒバリ、ヒバリ…。 ただ只管に、男は僕の名を呼ぶ。 「いい加減にしたら?」 「ん?何で?」 「意味なんてないだろ?」 「そっか?あるとは思うんだけどな」 そう言って、苦笑する。 僕を見ないで、苦笑する。 「あるワケないよ。  だって、僕はヒバリじゃない」 「ヒバリだよ」 何処までもまっすぐな目。 その目をそのまま、まっすぐと見返す。 「君の知ってるヒバリじゃない」 「でも、ヒバリだ」 何度となく、繰り返してきた会話。 男はただ只管に、僕の名を呼ぶ。 呼びながら、僕を見ていない。 そして、不毛な会話を繰り返す。
07.05.04 10年以上後。山本とヒバリ。 / . 「よ、元気か?」 もう10年も会ってなかったというのに、男は昔と変わらない笑みで笑った。 けれど、そんな笑みなど僕にはどうでもよく、 男の足にしがみ付く小さな子どもに目を奪われる。 それに気づいた男が、 子どもを少しだけ前に押しやり、挨拶をしろ、と促した。 「こんにちは」 男の足にしがみ付いていたくせに、 目を好奇心でキラキラとさせる子どもは、何処となく目の前の男に似ていた。 僕は何も答えず、 目を逸らし、冷め切ったエスプレッソに口をつける。 子どもが、男を伺うように見上げる。 男はそれに苦笑し、振り返り、 少し離れたところで元赤ん坊と一緒にいる女のところに行けと言った。 「元気にしてたか?」 断りもなく目の前の席に座り、男が問う。 僕はそれを無視して、読み終えたばかりの新聞に目を通す。 「…なぁ、俺に言うことねぇ?」 新聞に隠れて、問う男の表情は見えない。 **** 30手前のふたり。 18,9の頃に一悶着あって、 その後10年経っての再会は、山本子連れ?、みたいな。
07.04.26 山本とビアンキ。 / . 「好きだよ」 そう告げたら、 猫みたいな目でじっと見上げられた。 「誰に言ってるの、山本武」 見上げてくる目には、何の感情も伺えない。 「誰って、俺の前にはネェさんしかいないだろ?  他の誰に言うんだよ」 「誰を重ねてるのかしら?」 バッサリと切り捨てるように、ビアンキが言った。 「誰って、誰も重ねてねぇよ?」 笑って返せば、深い溜息をくれた。 *** リボ←ビアンキ前提で話を書きたいと、 突発で思ったんだけど、どうだろう?
07.04.23 10年後。ヒバリ。 / . 何かを欲する、という感情が解らない。 だから時折、 無性に、人から発せられる欲に流される。 僕を欲しいと言う人間に流される。 その欲が強ければ強いほどに、興味を持った。 けれど一時的な興味への熱が冷めれば、 どうしてこの僕が脂ぎった豚に触られなければならない、と疑問に思い、 気が付けばベッドの上、僕の隣に転がる血塗れの豚が一匹。 そんなことが、幾度か続き、 僕を欲する人間は、それなりの清潔さと見た目を兼ね揃えた人間だけになった。 それでも時折、それが血塗れとなって隣に転がることはあったけれど。 幾人かの僕を欲する人間と関係を持っても、 結局僕は、何かを欲するという感情が理解できないまま。 気が付けば、 一流の殺し屋という異名の他に、 高級娼婦とも陰で囁かれるようにもなった。 *** なんだか、突発に。 この後、山(→)ヒバになる予定が薄らぼんやりあるんだけど、 何処をどうすればそうなるのか、自分に聞きたい。
07.04.22 覚書。山本。 / . 「なんもかんも、なかったことにしてぇ」 零れ落ちた言葉は、 どうしようもないくらいの本音で、 いっそ、ガキみたいに大声出して泣き喚きたかった。 どこから何をやり直したいのか解らず、 それ以前に、どう足掻いたところで俺が俺が俺である限り、 そしてヒバリがヒバリである限り、 こんな結末にしかならいのかもしれないという可能性のほうが大きく、 もう本当に、ワケも解らなくなるくらいに泣き喚きたかった。
07.04.22 覚書。山ヒバ前提、山とツナ会話。 / . 「信じてたんだね」 嬉しさで目に涙を浮かべ、ツナが言った。 「違う。  願っただけだ」 答える俺は、 安堵したくせに、硬い声しかでなかった。 信じるほどに、俺はヒバリを知らない。 だから、願うしかなかったんだ。 こんな時に、自分とヒバリの距離を痛いほど思い知って、 こんな時のくせに、やり切れなさに埋もれそうになる。 ヒバリは奇跡的に、無事に生還したのに。 それは酷く嬉しいのに、違った次元で打ちのめされる。
07.04.17 覚書。山ヒバ。パラレル(神と生贄) / . 「食べればいい」 「俺が?お前を?」 無理だよ、と男が笑う。 「餓えて死ぬ」 「…死なない」 そんなの嘘だ。 もう何年、何百年と、喰ってないくせに。 すぐに死なないとしても、限界は近いくせに。 「食べればいい」 「何、そこまで愛してくれてんの?」 男が、また笑う。 茶化して終わらそうとする。 殴ってやろうかと思うよりも前に、そうだよ、と答えていた。 男は酷く驚いた顔をしてから、笑った。 見たこともない、泣きそうな笑い方だった。 「喰わないって」 宥めるように、僕を抱きしめる。 僕は男に身を預けることなく、 ただ抱きしめられたまま男の肩越しに、薄汚れた壁を見ていた。
07.04.14 覚書。10年後?。山ヒバ。 / . 「君が好きだよ」 唐突に、言ってやった。 家の整理も仕事の整理も悟られないように片付けて、 ただ言葉だけは、唐突に言ってやった。 いっそ、笑いたくなるくらいの下らない言葉を。 「…え、ヒバリ?」 驚いた顔をして、男は言葉を失う。 そのあまりにも間抜けな顔に、笑った。 「なんて顔してるのさ。  君がいつも言って欲しいと言ってた言葉だろ?」 そう言ってやれば、 男は、そうだけど、と言いながらも納得がいかないように口ごもる。 その姿に、僕はまた笑った。 「今、言っておかないとね」 もう二度と言うつもりはない。 それ以上に、二度と会うつもりもない。 そう決めたから、今の行動があり、 次がないからこそ、現実感がなく酷く穏やかな気持ちになる。 「ヒバリ」 何かを気づきかけた男に、 じゃあね、と笑ってやった。 二度と会うことはないから、この気持ちも一緒に置いて行く。 思い通りにならない想いなんて、いらない。 他者が深く介在する生き方なんて、気持ちが悪い。 そんな人生を、歩いて行く気はないんだよ。 だから、男がいない生き方を選ぶ。 それは酷く自分らしい行動のようで、 本当は、酷く自分らしくない行動だと知りながら、 それでも笑って男に背を向け歩き始めた。
07.04.10 覚書。山ヒバ。ヒバリ19、山本18。 / . キレイだと思ってた。 見た目もそうだけど、 それよりもキレイだと思ったのは、潔さだった。 今、目の前にいるヒバリは血に塗れてる。 その中に、自分の血はほんの僅かで、ほとんどがヒバリが倒した敵の返り血。 トンファーから滴り落ちる赤が、何処までも現実から遠い。 1年ぶりに会うヒバリは、 そんな惨状の中で俺を振り返り、 突然の俺との再会に驚くこともなく、 ただ、君はここまで来なくていい、と笑った。 儚げに、 少しだけ寂しげに、 それでもキッパリと言い放って、笑った。
07.04.07 覚書。山本とツナ会話。10年後? / . 「間違ってたんだね」 「何?」 「俺、ずっと山本は優しいと思ってた。   でも、違うんだね。  山本は優しいんじゃない。  向き合ってないから、どうでもいいんだ。  だから、笑って受け流すだけなんだ」 「ツナ?」 「俺、山本が好きだよ。  でも、俺が思ってるほど山本は思ってくれてないんだよね」 「ツナ?  さっきから何言ってんだ?  俺も、ツナのこと好きだぜ?」 「知ってる。  でも、俺と山本の好きは違うよ。  山本は俺のことを身のうちに入れてくれてるけど、切る時はバッサリと切れるだろ?  俺は切れないよ」 「…ツナ」 「責めてるワケじゃない。  そういう山本だと解ったからって、何も変わらないし。  ただ、山本はいつまで気づかないふりを続けるのかって思っただけだよ。  俺みたいに切れる人間関係ばかりのくせに、ひとりだけ切れない人がいるだろ?  でも、山本はそれを態度に表さない。  あの人は人に興味がないから、気づいてないよ。  ねぇ、それでもいいの?」 「何言ってんだか解んねぇんだけど?」 「そうやって笑って気づかないふりをするんだね」
07.04.03 覚書。山ヒバ(10年後) / . 「君が好きだよ」 「…え、ヒバリ?」 突然言われた言葉に、アタマがついていかない。 そんな俺に、ヒバリは少しだけ笑った。 「なんて顔してるのさ。  君がいつも言って欲しいと言ってた言葉だろ?」 そうだけど、 でも、何だろうこの違和感は。 何だろう、この焦燥感は。 「今、言っておかないとね」 そう言って、ヒバリはまた笑う。 それって、どういう意味だよ。 「ヒバリ」 訊きたいことはあるのに、 口からは、呆然とした声で名を呼ぶことだけしか出なかった。 「じゃあね」 儚く笑って去って行くヒバリ。 止めようと声を出すことも、 追いかけて引き止めることも何もできず、俺は馬鹿みたいに立ち尽くしていた。 その日以来、ヒバリは消えた。 家はもぬけのカラで、小僧でさえも苛立ちを含んで焦っていた。 俺はその現実を理解することができず、 探しに行くことも怖くてできず、 あの時から立ち止まったままに、好きだと言ったヒバリに捕らわれている。
07.04.01 ディノとヒバ会話。 / . 「欲しいなら、欲しいって言わなきゃダメだよ」 「…何それ」 「じっと見てるだけじゃ、何も変わらないよ。  ヒバリは、もっと欲しがればいい」 「…誰が何を欲しいって?」 「さっきから、見てる相手」 「何言ってるの?  咬み殺すよ?」 「まだ俺のが強いから無理」 「…っ。  本気で死にたい?」 「死にたくねーよ。  ま、アレだ。  センセイからの教えのひとつってことだ。  有りがたく聞いとけよ」
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