Liar.



 

「嘘吐き」

「パパは、お前に嘘なんか吐かないよ」

「嘘吐き」

「…シンちゃん」

「嘘吐き」

涙を耐えて見上げてくる目がどこまでもまっすぐで、
胸を静かに突き刺し痛みを伝える。


「…シンちゃん、パパのこと嫌い?」

誤魔化すように問えば、
シンタローは悔しそうに唇を噛み締め俯いた。

瞬間、ぽたりと一滴の涙が落ちた。


ごめんね、
と、呟きそうになる口を同じように噛み締めて耐えた。

謝れば、
嘘を認めることになるから。

まだもう少しだけ、
シンタローの好きな優しいパパでいたかった



06.02.25 Back