何処までも暗く、何処までも深い。 この愚かしい想いをマジックが知れば、どう思うのだろう。 The lifetime scar. 人の心に一生残るものは傷だ、と言ったのはどこの芸術家だったか。 優しさや美しいモノは、確かに人の心に残るけれど、 確かに…確実に爪痕を残すのは、傷らしい。 それを聞いた時、俺は笑った。 人間ってのは愚かなもんだ、と笑った。 それなのに、今。 それを痛いほどに、身をもって実感している。 マジックの心に深く深く作られた傷跡。 それを癒してくれたのは、お前だよ、とあの馬鹿は笑っていった。 けれど癒したところで、傷跡は残ったままなんだろ? マジックという人間とそれは一体化してしまっているんだろ? 癒すとういう俺は、その上を覆い隠すだけ。 傷そのものは、消し去ることができない。 悔しい、という想いはもう超え、 今はただ、マジックに傷を残したいと思うばかりだ。 だから、マジックを拒絶する。 マジックが過去に与えられた傷跡より、更に深い傷を残すため。 例え、どれだけ自分も傷つこうと構わない。 ただ、マジックに深い傷を。 ―― 一生消えぬ傷を。
04.11.17 ← Back