任務の帰り道、まだ17時過ぎだと言うのに暗い中、外灯の灯りに照らされた道をふたり歩く。
時折、強く吹く風とそれによってカサカサと音を立てる枯葉が、一層寒さを感じさせる。
隣を歩くサスケを見れば、肩をガチガチに強張らせている。






君色マフラー、僕色マフラー
「寒そうだね」 「冬だからな」 「…と言うより、お前の場合はそんな服着てるからじゃないの?」 「…」 サスケは、相変らず首周りの開いた服一枚。 見るからに寒そう。 「サスケ、何色が好き?」 「…青」 それは目立たないから、 「却下」 「何だよそれ」 「いいから、他は?」 「…赤」 それは似合いすぎるから、 「却下」 「…」 キツイ眼差しに睨まれる。 それに笑顔で答える。 「他は?」 「…」 寒そうに少し俯いて歩くサスケは、もうこちらを見てくれない。 「サスケ、他は?」 「…」 「サスケ」 呼びかけを強めれば、 「…黒」 溜息混じりに答えられる。 「んー。黒ね、黒」 「何だよ」 歩くのを止め、訝しげに見上げられる。 寒さのためか、頬が赤い。 「ちょっと、待ってて」 言って走り出す。 呼び止める声が聴こえたけれど、心の中でごめん、と一言謝罪をして走った。 「はい」 「…何だよ」 数分間、ワケも解からず寒空の下に待たされたサスケの機嫌は悪い。 でも、君が待っててくれることが嬉しい。 緩まる頬を気にせずそのままに、 いいから、いいから、と買ってきたばかりのモノをサスケに巻きつける。 青では君と同化してしまい、 赤では君の悲壮さを引き立ててしまうから、 君に似合う黒色マフラー。 「…」 サスケは無言でされるがまま。 頬が赤いのは、まだ寒さのせい? それとも別の理由? 「寒い?」 「…」 頬を赤めたまま俯かれる。 表情が見えないけれど、そんなこと関係なくて、 行こうか、と手を差し出せば、君はその手を無視して先へ行く。 早足で、先に行く。 苦笑ひとつこぼして、その後についていく。 青でなく、赤でなく、黒色マフラーを巻いた君の後ろを、黒色の服を纏った自分が歩く。 君の傍に、いつも黒色が在りますように。 ――君の傍に、いつも僕が在りますように。
2003.11.12 黒色=カカシで、ちょっとリリカルに(謎)
Back