Inside of darkness.

好きだと言ったことは、一度もなかった。 好きだと言われたことも、一度もなかった。 気がつけば、 互いが互いを必要としていて、 気がつけば、 そのままずるずると堕ちあって、 気がつけば、 共倒れしか、道は残されていなかった。 どうして、だとか、 いつから、だとか、 そんなことも解らぬまま、ずるずるずるずるとぬかるみの中。 そこから見えるのは、暗闇ばかり。 一筋の光すら見えない闇。 互いすら見えない闇。 ただ繋いだ手のぬくもりだけが、互いの存在を伝えてくる。 見失っているのかもしれない。 自分の気持ちも、相手の気持ちも。 それどころか、 手を繋いでいる相手すら、本当は違う誰かなのかもしれない。 けれど、もう手を放せる時は既に過ぎ去っていて、 ある種、縋る思いで繋いだ手を強く握る。 相手も同じ気持ちなのか、強く握り返してくる。 ここには、一筋の光すらない。 何処まで行ってもいつまで経っても、光は射すことはなく互いも見えない。 繋いだ手から伝わるぬくもりだけが、すべて。 それなら、もう終わってもいいだろうか。 きっと終わったところで、何も変わらない。 ずっと闇が続くばかりなら、今と何も変わらない。 それなら、終わらせてしまおう。 終わったところで闇が明けることがないように、きっと繋いだ手のぬくもりも続くから。 それなら、もう終りにしよう。 変わらないのなら、終りにしよう。 ずっと手を繋いで、終りにしよう。 強く思いを込めて手を握れば、相手も強く握り返してきた。 気持ちは、同じ。 それなら、もういい。 ――だから、 だから、これから僕らは終わるのです。
2004.03.29〜05.18 『Inside of darkness.』=闇の中。 BGM:「Beginning」 3500HitキリリクSSでもあり、 ふたつのお題SSとなってしまったけれど、Hちゃんに捧げます。 視点は、カカシ・サスケの両方で。 リク内容:『だから、これから僕らは終わるのです。』 ※Hちゃん一言感想※   →『ほーーーーっっっっ(感嘆)って感じ』

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